指の先で爪がのびる
こたきひろし

のびた爪を夜に切ってくれた
妻である人が切ってくれた

爪が指の先でのびる
切らずにおいたらどこまでのびるかなんて
普段は思わないけれど
思ってしまった

のびた爪であたしの体を触られたら
痛いから切るのよ
言いながら彼女は意味深な微笑みを浮かべた

夫である私は少なからず淫靡な気持ちにさせられた

人間の男と女
獸の雄と雌

一対の夫婦
そこに架かる橋から
性愛は外せない

夜に切ってくれた
妻である人が切ってくれた
夫という獸の指の先にのびた爪を


自由詩 指の先で爪がのびる Copyright こたきひろし 2019-01-01 09:03:47
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