小夜時雨たたずむ夜に
帆場蔵人

小夜時雨、わたしは夜のなか
朝をしらない、昼にふれば
だれもわたしを小夜時雨と
よびはしないから、涙もない

夜の静寂を細いゆびでたたく
あの窓明かりからのぞくひと
あなたがわたしをわすれたように
わたしもあなたをわすれたけれど
わたしはいます、細いゆびのひと
小夜時雨、わたしは夜のなか
朝には雪に変わるでしょう


自由詩 小夜時雨たたずむ夜に Copyright 帆場蔵人 2019-01-01 02:04:43
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