女神とその性欲は
こたきひろし

体臭と口臭
そして
お互いの獣臭さを嗅ぎあう夜は
同じベッドの上で汗垂れながし
軋みあった

小柄で背は低い
美人でも可愛くもなかった
髪の毛は短くて化粧が無理矢理だった
スカートをはかなくて会うたびにジーンズだった

お互いが成り行きで勢いで
寂しさで
結婚への焦りで
幾多の思いが感情の蔦で絡み合って
そこへ性欲が津浪のように押し寄せた

それの何がいけない
どこが問題

純粋に愛し愛され
思い思われなければ
幸せの切符は手に入らないって

健全な恋愛に
命は輝くって

せっかく
教科書があるんだから
それを捲り捲り
要点だけは見逃さずに生きろって
それが賢明な人間のする事だって

そんな算数
俺は持ってない

その女からは何となく死んだお袋の匂いがしたからさ
俺とおんなじような匂いがしたからさ
だけどそれは俺のかってな思い込みだったかも知れない
俺なりの生き方の言い訳かもな

俺なりの生き方の切ない言い訳だよ
きっと




自由詩 女神とその性欲は Copyright こたきひろし 2018-12-30 07:37:58
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