バイク
一 二

僕は一人この寒空の下で
座って焚火で君を照らして見ている

僕の青春の情熱は全て君に費やしたんだ
そして君から全てを学んだんだ
僕のオートバイの真上で全てを知れたんだ

興奮と己の無力さに笑わせてくれた
感動と痛みで泣かせてもくれた
良い意味でも悪い意味でも
空を飛べるような気にさえさせてくれた

だから人の死なんかちらつかせないでくれ
人を殺める道具にされないでくれ

君は君一人じゃ絶対に人を傷付けなかった
そんな無抵抗な君に文句を言うのは
君の事を知りもしないで
その癖に陰でぐちぐち言うやつだけだよ
きみは自分を持っていたからこそパワーがあった
君は今よりもっと輝いていた
これからももっと輝ける
まだ君を愛する友人はいるんだよ

それでも君をテレビで見ない日が多くなったし
君をサーキットで乗ったり眺めたりする人は
最近ではめっきり減ってしまったよ
最近は他の人は変わってしまったよ
それでも君を好きな僕と僕の友人はまだいるんだ
君にしかないものに頼ってるんだ

君はかつてのスポットライトを浴びれなくて
とても退屈してるんだろう
でもその退屈は
他の人が君以外のことに飽きるまでだけだよ

だから全てのオートバイよ
今をそんな辛い時代もあったって
笑い飛ばせるくらいに
未来を強く生きるために
輝きを失わないでくれ

僕たちが知った君の歴史
僕たちが感じた君の進化
まだ生まれていない君を愛する人達のために
君の進化が歴史になっても
君を愛する人達のために
輝きを失わないでくれ
バイクよ


自由詩 バイク Copyright 一 二 2018-12-27 21:43:04
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