月下、恋しさ
秋葉竹



仮面劇
なければ辛いだけだろう
けもののアイツのストレートな愛

もし愛が
なければアイツを覗き込み
どこへ行くのと訊ねはしない

耐えられない
アイツのけものの炎の眼
じっと私を焼くようにみる


どこへ行く?
尋ねる仲間の涙拭く
綺麗ね、それでも、アイツに惹かれる

もうここに
わかってくれる人は無し
こころに鬼女の、ただ狂う夜

柔らかな
ほっぺに噛みつきあたたかい
気持ちをかじって喰らいたいほど


奪われる
それでも愚かなやさしさで
耐えて、愛して、抱き寄せ、蕩ける

純情の
値段はどうでも良いけれど
揺れる心に珊瑚の眩しさ

よしてよね
あるのは私の心だけ
売り値を聞かれて至純とこたえた


純愛が
生きゆく辛さを売るのなら
不敵に微笑み、ないしん、震える


真珠飲む
朝まつ夜の淫靡さが
許してくれないまとわりつく舟



欲しいもの、
欲しいとひとりで苦しんで
黄色い果実の香りに縋った

月み惚れ
したたる優しい女の慕情
照れないフリして、照れてるアバズレ

アイツには
けものの匂いがする部屋で
愛の巣があるベッドで休もう


どこへ行く?
寂しい目をして夢かたる
アイツのだいじなたたかう純情



知らないで
おそろしい夢なんという
言葉の響きか、わからない夢




なにもかも
じょうずに伝えられないが
月光を浴び、月姫を抱きたい




飛べること
諦めないまま手鏡を
覗きこむのが、虹の罪びと


ヨーソロー
いけない恋は舵きって
正しい恋だけ帆を張り進もう










短歌 月下、恋しさ Copyright 秋葉竹 2018-12-27 20:36:01
notebook Home 戻る  過去 未来