ト なって11 フルサトへ
ひだかたけし

白い紙が浮き上がる
この静かな夜
孤独になり
孤独に孤独を塗り重ね
真っ白になる
真っ白になり
巨大な破壊音
脳髄に響き渡り
次々襲う音の洪水、
噴き出す粘性の音柱、
絶えず絶え間なく
生成し続ける



産道を通り青いビニールシートに落ちる
瞬間の光景を覚えているかい?
おまえが子宮の安らぎを捨て
体液に塗れ産まれ落ちたとき
おまえの魂にはもう既に
忘却の文字が刻印されていた
マッサラな魂だけが受け止める
新たな現の光景を前にして
(そうして父親の顔が近付く)

今、
忘却の文字
巨大な破壊音に
一瞬消え
未来から到来する
フルサト ウネリ
五十八年の
歳月経て
音叉の響き∪∪∪
底無し縁底の
木霊スル木霊スル
これは確かに母の声、
白壁に当たり乱反射し

おかえりおかえりおかえりおかえり、、
オカエリオカエリオカエリ
おかえりおかえりおかえりおかえり、、、

只只
郷愁と憧憬の
この肉魂に込み上げる


白い紙が浮き上がる
この静かな夜
孤独になり
孤独に孤独を塗り重ね
真っ白になる
真っ白になり
巨大な破壊音
脳髄に響き渡り
次々襲う音の洪水、
噴き出す粘性の音柱、
絶えず絶え間なく
生成し続け逃れ去る


























自由詩 ト なって11 フルサトへ Copyright ひだかたけし 2018-12-27 19:11:27
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