憑依
ミナト 螢

チョコレート一枚
割っただけで
体が熱くなる
こんな季節は

何も溶かす
もののない指先に

曇りガラスの
結露を集めて
誰かの代わりに
泣いてあげましょう

涙の降りる駅は
いつだって
ハンカチを乾かす
朝の光に
解かれてゆく
胸のトキメキよ

瞼の上で
転がった夢が
青い痣を残し
人見知りする

弱い風が吹く
強い人が勝つ

私は誰に付いて
行くのだろう


自由詩 憑依 Copyright ミナト 螢 2018-12-25 19:57:54
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