冬の夜の
ハァモニィベル



それでもいい

遠い足音の偬しみも

かわした言葉のすべてが いつか跡形もなくても。

ぼくらの中にだけ積もってゆく

  ただ、それだけ、であっても。

純度の高いまだ誰も見たことのない心を映した面持ちで

あのときのまだ、夜の

子供時代の燥いだ冬の夜の

鼻腔に残る安らぎも

耳を塞いだ古い旋律のような不安も

  やがて皆んな ともに辿り着く星の下で

虚しく凍った舌を慄わし

手も足も冷たくなりながら

ただ、それだけのために

他の誰にも届かない心ばかり積もらせても。





自由詩 冬の夜の Copyright ハァモニィベル 2018-12-20 17:38:31縦
notebook Home 戻る  過去 未来