それはおそらく血の記憶だろう
ぽりせつ

それはおそらく血の記憶だろう
未生以前に何度もみた風景

空を見ていると思い出す

場所も時代も飛びこえて
同じ空の下に佇むただの目

この幸福感はなんだ
覚えのない郷愁は
私に遠い昔の空を見せる

子供たちが、ずっと空の下に遊んでいるのは
彼らが前世に最も近いからだろう
記憶にある空が心地よいのだろう

記憶とは
幸福とは
未生以前の目とは

魂が肉体を超えて尚、記憶に幸福を感じるなら
すべての生は是なのか

私が生まれたことは是なのか
この幸福は是の証なのか

空をみていると思い出す

血の記憶は
脳が忘れた前世の風景

そして
再び生まれてきたことを祝福してくれる
唯一の言葉

人が生をくり返す意味に
最後に答えてくれるのは

それはおそらく血の記憶だろう


自由詩 それはおそらく血の記憶だろう Copyright ぽりせつ 2018-12-19 01:19:48
notebook Home 戻る  過去 未来