ト なって6 白い部屋にて(改訂)
ひだかたけし

無音の現に
頭突っ込む
頭呑まれて
言葉を捨てる
要らないんだ
要らないんだ
伝達言語、要りません
白壁囲う白い部屋に
伝達言語、要りません


壁を叩く
沈黙の壁叩く
壁なぞる
沈黙の輪郭なぞる
そうして奥の億から湧き起こる、
沈黙の言葉に耳澄ます
(貴女の声に耳傾け)

時 柔らかく変形して
空 柔らかく溶け出して
遠くの銀河ざわめいて
麗しいこの星と麗しいこの星と
輪舞し炸裂し
音を奏でて歌うたう

歌降る、
歌降る、
この部屋に
底無し声の律動ガ
憑依しイタコの喉仏
降る歌降る歌うたう歌
わたしはイタコの喉仏



境を接し 境を跨ぎ
わたしは貴女を待っている
アダムの林檎を頬張りながら
懐かしい歌を待っている




















自由詩 ト なって6 白い部屋にて(改訂) Copyright ひだかたけし 2018-12-15 20:58:27縦
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