細胞死
羽根

真夜中に広い低気圧が去り
黒雲は静かに消えていく
雨で成長した植物は何も答えることはない

太平洋に発生する温暖な高気圧は
ゆっくりと白雲と共に動き出し
隠れていた生物を無言で白く脱皮させる

人間は体の恒常性を保つために
プログラムされた
アポトーシスと言う生理的な
細胞死を繰り返し行うが
時の経過とともに活力が衰えて
細胞死は減っていく

私はそれを知らないで生きている


自由詩 細胞死 Copyright 羽根 2018-12-09 23:52:40
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