文体
たま

文体は作家の生理だという。

なるほどね。
じゃあ、詩人はどうなのか。
詩は文体であって、文体ではない。
詩人のことばは生理そのものだ。

物語ではない。
詩だ。
生身のからだを担保にして詩人は詩を書く。
酷だとおもう。
否定されたらたまらない。
でも、負けないのが詩人だ。
酷を承知している。

七年余り小説を書いてきた。
詩なんていつでも書ける。
と、高を括っていたら、詩が書けなくなった。
生理を見失ったのだ。
詩人の生理を。

こうしてあなたたちの詩を読めば、みんな輝いている。
なんのことはない。
道草しただけだった。
夢はいつか、からだとともに滅ぶ。
詩を担保にして小説を書くことはできない。
いじくり回しただけの文体はわたしのからだだった。

それも生理だとしたら、悔やむことはないだろう。
人間なのだから。
歳とともに生理は変化する。
そういうことなのだ。

ふみのからだ。
それがわたしたちのからだ。
幸を呼ぶ。
負けない詩人のからだ。

祝福しよう。
初雪の舞う空の下で。












自由詩 文体 Copyright たま 2018-12-06 10:50:59
notebook Home 戻る  過去 未来