紫のカリフラワー
藤鈴呼



薔薇を手向けるのが好きだった
貴方の代わりに
一輪挿しを生めるなら

目の前で儚げに咲くラベンダーよりも
ふわふわの雲をヒトサシ

唇が切れぬ程の柔らかさでもって
棘など まるで 知らなかったかのような 角度で

微笑んであげる
手を伸ばしてあげる

両手を空に向けて
唇を仰いだ団扇から外したら
顎が外れるくらいに 笑えるかしら

粒揃いの光たちが行き過ぎる
何かを引き摺る音

夕暮れのトキメキから解き放された朱鷺が
頬まで朱く染めるならば こんな瞬間

真っ青な蒼も空も海も忘れて
真っ赤な唇だけを求めて泳ぐのね

ふよふよと頼りなさげな鱗を
360度 逆回転させながら

世界一の断末魔の叫びよりは美しい声を
少しくねらせて

スカートが ふわり跳ね上がるよりは
強かなカーテンが揺れる

これね 遮光なの
だから 大丈夫

どんなに 車高のある箱乗り横向き笑顔からでも
見えない角度だから

西日が差す
青と赤の共演

途切れることのない
ふわふわの 紫模様

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自由詩 紫のカリフラワー Copyright 藤鈴呼 2018-12-01 08:56:12
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