異邦人
ミナト 螢

田舎で鳴らすパンプスの音は
アスファルトと喧嘩をしているようで

沈黙の町に突き刺す矢の道
着飾った自分を恥じた後で
鏡を見る気にはならないから

タートルネックを折り返しながら
顔を隠したい犯人みたいに
悪いことをしたわけじゃないけれど

ヒールの先で刻むリズム感が
都会の人より劣ると思った

振り返ることなく前を見つめて
しゃっくりが止まらなくなる道で
背中を叩いてくれる人がいれば
温もりに触れて優しくなれるのに

たった三センチの高さだけが
自分と他人を遠ざけてしまう

脱ぎ捨てるには早過ぎるパンプス
この町を滑るスニーカーの底が
汚れる時まで君は異邦人


自由詩 異邦人 Copyright ミナト 螢 2018-11-17 08:10:28
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