Fiction
青星円
いつまでも花のように笑んでいてほしかった―――
この世ではじめて美しいものを見たと思った。彼女の瞳の中にはいつも星が宿っていた。その星は真昼でも太陽にまけず照り輝く、地上で一番明るい星だった。そして永遠に輝いていられるはずだった。
―――私はダークマターのように彼女から微笑みをうばいとってしまった。
彼女は、笑わない、少なくとも、この世のものたちには、誰もわからない、彼女は、誰にもわからない、彼女を…。
星は輝きを失った。一見して輝いてるかのように見えたとしてもそれはただ光をはねかえすだけの硝子の輝きでしかない。多分、その星は光をとりもどすことはないであろう。それに、彼女にそのような意思がまったくないことも確かだ。
漆黒のナイフ…あれが始まりだった。あれが全ての始まりだった。彼は凶悪な人体のパロディーのようであり、同時に十字架の形をしていて私を見ていた。暗黒の…漆黒の剣…光を照り返すことさえない、まるで私のようだ。そう、剣は私の分身のように、私の体内から生まれ出たもののように思えた。 彼を生み出したのは私… そう…すべて…
―――すべては私のせいなのだ…。
彼女にはいつまでも花のように笑んでいてほしかった。
それを壊したのが私で、勝手ないいぐさだとはわかっていようとも、私はそう思わずにはいられないのです。
自由詩
Fiction
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青星円
2018-11-16 12:49:35縦