少年は自由だった
小卒

小学生の僕
真夏の昼下がり
祖母の家で寝ていた
自由人の昼寝だ
窓を開けて寝ていた
網戸を閉めて寝ていた
虫に食べられないように

思い出したかのように降ってきた
雨の音を聞いていた
トタン屋根に打ち付ける
雨の音を聞いていた
古い音がする
優しい香りのする音だ

揺り籠に揺られていた
雨の揺り籠に揺られていた
夏休みのど真ん中
揺り籠の中にいた
夏休みの宿題の
十ページくらいを開いたまま

涼しい風が吹いていた
道路の匂いを乗せて
涼しい風が吹いていた
僕のために吹いていた
少し寒くて少し寂しくなった

あの日あの時あの瞬間

確かに僕は 世界中の誰よりも自由だった






自由詩 少年は自由だった Copyright 小卒 2018-11-16 07:51:16縦
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