高温星
青星円

青星灯る夜に、コールタール色の水底から貴方が呼んでいるのだけど、私は泳げないし、よく見ると確かに星や月が水面に映り込んでいるのだけど、それを捕りに行く気にもなれない。
今日はやめておくわ、と私は言って家路に着いたけれど、どうも後ろから水をぴちゃぴちゃさせながらつけてくる人がいる気配がする。
貴方はもういない人なの。わかってほしいけれど、
「わかってないのは私の方ではないか?」
ふっと思った瞬間足音は消え、星天だけが私を見下ろしていた。


自由詩 高温星 Copyright 青星円 2018-11-16 00:20:39縦
notebook Home 戻る  過去 未来