ブスだとすぐ逝ける
はだいろ


朝、乳首に生えた、
みっともないちぢれ毛を剃ろうと、
何も考えず、カミソリの刃を当てたら、
出血してしまった。


あまりにも馬鹿馬鹿しいので、
妻にいつものように馬鹿にされても
笑ってごまかすしかない。


無理やり、今はちょっと忙しい時期なのに、
休みを取って、
溝口健二の「近松物語」を観に行った。
すっかり忘れていたけれど、初見ではなかった。
ああ、度の強いメガネに替えたばかりなので、
何と4Kに映えるキャメラ、美術の美しいことか。
そして恋の狂い。
こないだ観て感動した、
「寝ても覚めても」もそうだったな。
狂ってないんなら、
それは恋なんかじゃないぜ…


それから今日はとことん遊ぼうと、
思って、
いつもの店で、予約した女と遊んだけれど、
思った以上にブスだったので、
プレイに集中し、
すぐ逝ってしまった。
そういうこともあるかと、パンツの替えを持ってきていた。
可愛い、素晴らしい娘だったら、
僕は決してこんな逝き方はしない。
ブスにも効用はある
結局女なんて、みんなつまるところ女なのだ
だから
悲観なんてするのは馬鹿げている
ブスの方がきっと素敵に生きられるよ
外の世界の嵐さえ過ぎ去れば・・・


それからレコードを買った
風俗をはしごしようと思っていたのに、
その気が失せたから、
お金が余った
欲しいレコードは山ほどある
そのうち1枚だけ、今夜、家に連れて帰れる
これも
君がブスだったおかげである







自由詩 ブスだとすぐ逝ける Copyright はだいろ 2018-11-13 21:38:15
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