感性ギスギス、感性ズキズキ
立見春香


ああ、できれば
わたしだってもっと若いころに
もっと感性ギスギスしていたころに
こんな風に
詩作とか
おこなっていればなあ

学校にだって
通学路にだって
いきつけの本屋にだって
あの美容室はとくに
失敗されてムカついて
どうしても許せない
とか
けっこう真剣に怒ってた
こともあるよ

ほんというと
長い間許せなかった
いろんな憎悪が
胸と頭を
掻きむしったりしたよ

過去には
いっぱい恨みも妬みも嫉みもあって
本当のことを言うと
いまでもあのころのことを
思い出すだけで
涙目になるような
『失われた希望の時間』を
ずっと思っていたりするから

だから今日の詩は
感情の発露だろうから
どんな隠喩も技術も裏の意味もない
ただの
感情なんだよ

そんなことを考えてると

いまはもう、
あまり会社のことはともかく
社会のことで身につまされて
感じる不満や不足感は
薄っぺらい
テレビやネットからの
ただの受け売りなんだよねー

怒っていたときは
もっと
舌がなめらかに動いていたか?
イラ立っていたときは
もっと感性がズキズキと傷ついていたか?
いまはまるで
すでにあることを終えた
誰かのように
無気力な心のことを
穏やかな心と呼んでいないか?

ああ、できれば
わたしだってもっと若いころに
もっと感性ギスギスしていたころに
こんな風に
詩作とか
おこなっていたかったよ

そしたら
もっと感性をゆさぶれる
絶望を見据えた詩なんかも
書けたりしたかもねー?





自由詩 感性ギスギス、感性ズキズキ Copyright 立見春香 2018-11-13 02:11:25
notebook Home 戻る  過去 未来