白い世界
犬絵

失くしたものは
清らかな意地


血まみれで
無様で
嘲笑われ
下を向き
見つめたい
想いの力が幸せと
かつて信じて
強くあれ
そう
言い聞かせ
ただひとり
泣いたりするのは
違うから
そう
信じて


あった


今はもう
つらいかな
少しだけだけど
もう、ちょっと
生きることに
疲れ果てているみたい


なだらかな
坂道を登って
答えを探した
風の吹く
心の隙間に
優しい気持ちが
吹きつける


しめしめ
子供のころの夢など
ささくれ立った
命の大切さを知らずに
ただ笑って
忘れていることができる
砂の城


そして、
無限へ


夕立が
この町と
あの花を
無表情に
叩いていった


とても優しい気持ちに
なったから
戦わなくてもいいんだ


そしてけれど
失くしていくものは
いつか取り返すことが
できるだろうが、
かつて知った
いく百のうたを歌うことができないのだ


優しい気持ちをもって
強い力をもって
なだらかな坂道を
ただ
登っていく


かつては
信じることができた
今はもう、
疲れ果てた希望を


笑うな。


笑うな、三日月。


月に架かる橋が無いなら


優しい気持ちを、笑うな、三日月。


さんぜんはるかの、彼方の月よ、


月へ飛びゆく、真白き舟よ、


愁いも、白き、三千世界よ。






自由詩 白い世界 Copyright 犬絵 2018-11-10 01:57:36
notebook Home 戻る  過去 未来