無印
ミナト 螢
光る宝石を身に付けた時は
それより輝く命を見逃す
一瞬の煌めきの中で揺れる
原石を持った人の夢だから
重たくて軽い口笛を吹くと
眩しい世界へ届きそうになる
真っ白なノートを開いただけで
心も目覚める空気を孕み
右手の感覚を外しながら
コックリさんが来るのを待っている
少しずつ書いた言葉は無色で
透明な方が色褪せないね
うなずく魂の声を聞いて
ボールペンは同じ場所を走る
右へも左へも行けずに迷う
原石をもっと小さく砕いて
誰かのポケットの熱に触れたい
創作のために空っぽになった
胸の膨らみが君をどこかで
励ませるように
言葉は生まれたら一人で歩く