拍動
葉leaf

山から下りてくる冷気が十月の浅い日のふくらみをおびやかす。男は人生の折り紙ばかり折っていて、その折り目の正しさを論述している。白紙の暦に少しずつ日付が折り重なり、日付には詳細な日記が書き込まれている。女は未来を次々と現在へと変えていき、現在への限りない欲望を飛翔させている。時間は裏側にいくつもの種を宿し、裏側の時間の孵化をずっと待っている。現実はこの世を凍結させていき、虚構はこの世を過熟させる。男は海を耕していて、海に一本の木を植えようとしている。海は次々と潮目を変えて、新しい波で苗を破壊しようとする。女は坂のある街並みを森林に映写するために、今日もカメラを携行する。人々は街並みの外で踊らされている、電気を供給する魔的な踊りを強いられている。男は女と夫婦である、あるいは恋人である、あるいは他人同士である、あるいは同一人物である、あるいは愛し合っている。



自由詩 拍動 Copyright 葉leaf 2018-10-30 05:54:32
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