タキオン
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立ち入り禁止のビルに忍び込んだ真夜中
インスタントラジオからの呼び声を頼りに
僕達は星が一番近くで見える屋上を目指した
星座の名前なんて何一つ知らないままで

手すりから身をのりだして大声で叫んだ
滑り落ちそうになってみんなで引っ張り上げた
覚えたての缶ビールの味にほろ酔い気分になって
普段だったら言えないような恥ずかしい夢なんかも語った

この世界には僕達以外の人間がいないかのように
生まれたままのありのままの姿で笑い合っていた

地球が回る速度に振り落とされてしまわないように
つまづきながらも転びながらも僕達は全力で走るんだ
限界を知らないから無茶ばかりするけど倒れたりしない
胸の奥で大きな音を鳴らすその存在を信じているから


騒ぎ疲れてコンクリートの上に寝転がった
沈黙に負けてどうでもいいことばかり話した
目の前に広がるのは雲一つない満天の星空で
誰が一番最初に流れ星を見つけられるか競い合った

何かを思い出させるかのように吹き抜けた
冷たい夜風なんて少しも気にならなかった

駆け足で過ぎ去る季節に置いていかれないように
ぶつかりながらも転びながらも僕達は全力で走るんだ
誰かが作った勝手なルールは振り回されたりはしない
心の奥で大きく光を放つその存在を信じているから


理由なんて考えずにいつも反対の答えばかりを探した
根拠なんてなくても正解だけを選んでいこうと決めた

地球が回る速度に振り落とされてしまわないように
つまづきながらも転びながらも僕達は全力で走るんだ
限界を知らないから無茶ばかりするけど倒れたりしない
胸の奥で大きな音を鳴らすその存在を信じているから

駆け足で過ぎ去る季節に置いていかれないように
ぶつかりながらも転びながらも僕達は全力で走るんだ
誰かが作った勝手なルールは振り回されたりはしない
心の奥で大きく光を放つその存在を信じているから

終わりを告げるようとする時が容赦なく追い掛けてくるけど
音や光にも負けないスピードでどこまでも逃げ切ってみせるさ
理解できないものは受け入れない守り抜いてきたものは奪わせない
単純なルールで繋がり合っている互いの存在を信じているから


自由詩 タキオン Copyright 1486 106 2018-10-23 23:33:15
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