旅にあって
Giovanni

旅にあって
飲めない酒を飲んだ

目の前にひらける黒い雲
灰褐色の光
酩酊船

錨の切れたラテン帆の船
波頭
眩暈

眩暈。

いつしか、酔うのは私なのか
それとも船なのか
そればかりを考えていた

ただ 奴は飲んだ
壊した
呪った
憎んだ
夢を見
わくわくして歩き
魅惑され
そして
渋面のように頑固だった

それなのに
子供の浮かべる
おもちゃの船の
ようでした
なんて
酒飲みながら
涙するよな
おとぎ話は止めてくれ

とうとう
嵐に飲まれながら
自分もいつの間にやら
眠りの海の藻屑となったとさ




自由詩 旅にあって Copyright Giovanni 2018-10-21 15:55:43
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