偶然
ミナト 螢

線路の隣で揺れるコスモスが
うなだれた首を守りきれずに
飛ばされていく自分のように

シャツのアイロンを忘れたくらいで
家に戻るのが面倒になって

朝は行列に並ぶことなく
好きな映画を観て時を許した

都会で踏み外す一歩は多分
蟻みたいに群がる巣の組織が
穴を埋めながら明日を創る

僕が迎えている朝はきっと
昨日の続きにポイントを付けても
明日に変わることなどないのだ

花に重ねた自分の運命を
マフラーで結び抱きしめてやる

苦しいほど強く妬んだ世界に
どんな言葉なら届くだろうか

枕のカバーに撒いた香水で
僕の夢を混ぜて揮発する夜の
神秘を探しに瞳を閉じた


自由詩 偶然 Copyright ミナト 螢 2018-10-20 09:26:31
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