あさやけ
久野本 暁

青白む空に星が燃やされていく
ささやかな虫の声と
なめらかな雲の影が葬列を成して
焚きつける東の空は間違いなく翠の色をしているのに
遥かの路上を引き裂くタイヤが全てを置き去っていく

心で灰になる金星だけは
どうか消えないでと願う

それでもよく知っていた
あの瞬きには二度と出会えないことを


自由詩 あさやけ Copyright 久野本 暁 2018-10-20 05:30:03
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