ふたつの色
木立 悟







霧と緑が
空に到くほど昇り
その反対側は
水平線を覆い尽くしてのびている


夜と鴉は無言で争い
少しずつ異なる記憶が
水たまりの底に並ぶ
小さな波に歪みながら


天の糸が
奈落に垂れる
夜に 緑に
細く揺れる


手 灯 輪唱
窓から窓へ 通り過ぎる子
音は苦み
残らぬ痛み


夏の羽は去り
夕陽と影の色をした
木の四ツ足たちも街を後にする
永く短い 夢の習わし


手のひらを下にするだけで
指は霧と緑を歩み出す
真昼の縦の銀河たち
ふたつの色に昇りゆく


















自由詩 ふたつの色 Copyright 木立 悟 2018-10-19 19:40:57
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