15センチメンタル
ミナト 螢

靴下の日焼け跡が残る足
それを隠すために選ぶ長さが
メスシリンダーの目盛りを上げて
短い夏に終わりを告げるよ

新しい靴下が止まる場所に
黒いサテンのリボンが似合うから
翼を広げてどこへでも行ける
風を待った日の空は青かった

伸ばしたままの髪の毛が揺れると
光が集まる心の内側
始まる季節に胸を押さえた

変わり目はいつか不安定になり
繋ぎ目を探す袖の余りで
指先が見えない制服の森
獣になれたら襲いかかるぞ

起毛素材のパーカーの裏側
誰かと触れ合う優しい錯覚
結んだ唇にリップを引いて
飛び出して行く金木犀の下

15センチという長さでもまだ
陽射しに焼かれて線が生まれる

北風が強く膝を叩くまで
メスシリンダーの高さより上に
靴下を伸ばし冬を迎えたい


自由詩 15センチメンタル Copyright ミナト 螢 2018-10-18 10:17:54
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