呼吸あればこそ
こたきひろし

どうしても息は吐かなくてはならない
そのせいで
どうしても息を吸わなくてはならない

肺という
この体のなかに組み込まれた風船を
膨らませ
そして萎ませる為に
それは繰り返されなくてはならない
休む事は許されないのだ

一度開かれた生命が
永遠へと閉じてしまうまで


私は
呼吸している間に
数々の過ちを犯した
生きる為に
死なない為に
と言う
切ない言い訳を作りながら

私が
呼吸している間に
戦争は起こらなかった

だから
私は呼吸している間に
無慈悲に
誰かの呼吸を奪う事はなかった

だから
私が呼吸している間に
無慈悲に
誰かに呼吸を奪われる事もなかった

しかしそれは
今日まで
あくまで今日まではに過ぎない

その先は不明
しかし

全ては
呼吸あればこそ

と言う結論には導かれた




自由詩 呼吸あればこそ Copyright こたきひろし 2018-10-16 06:08:41
notebook Home 戻る  過去 未来