誰かしらいた日々
asagohan
チョコレートの包みを開けた。
舌の熱で溶けて口の中に広がった。
みんなにも買っといてやるか、
1ケース頼んで帰る。
ピンク色の包みを机の上に置いて
「あれ、誰の? 誰のおみやげ」
みんなの困惑した声を聞き流しながら、
すかしながら飲んでいたコーヒーを置いて
着ていた白衣の袖に顔を埋めた。
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眼が醒める。
東京から戻って2年
雨漏りで染みだらけの天井
竹刀で開けた穴をふさいだガムテープ
私的に膨大な過去が染みついた部屋で
隙間風を感じるようになったいつもの部屋で
口の中に広がった懐かしい幻想の味を
また確かめるために、
眼を閉じる。
自由詩
誰かしらいた日々
Copyright
asagohan
2018-10-15 22:15:56