まじで
TAT
どんなに大人になっても
悲しみや苦しみをやわらげることなど出来はしない
どんなに子供になっても
彼等やあの人に迷惑をかけるような選択肢を選びたくはない
どんなに辛くとも
俺は俺の裏切って来た人や事柄を全部
まるごと
背負ってゆかなければならない
ならないと書くと義務感が漂うから違う
背負って歩いてゆくことに決めたんだ
の方が近い
決まったからもう決まったんだよ
そこは揺るがない
俺は北鮮の丘で少年に小銭を投げる
悪いが荷物が水たまりにはまってしまったんだ
手伝ってくれないかと
少年は苦しみながら俺を手伝ってくれる
日本人みたいだから稼げると思って付いてきたのに当てが外れたと
そう言って笑いながら
鞄の中には聖体拝領の聖体が詰め込んである
少年は得体のしれない俺の皮の鞄を押してくれる
中国で
イスラエルで
アイルランドで
デトロイトで
ナイロビで
キンシャサで
チリで
ブエノスアイレスで
色々な少年がいつも
俺の明日を押してくれる
俺はどの都市のどの時代でも
そういう時はその国の
一番大きな硬貨を可能なだけたくさん
やることに決めてる
少年の祖父に髭が在ったか無かったか
聞くことも多い
そういうのはどっちでも
夜になって焚火を気にしながらシチューを焚く時に
丁度良い人生訓めいた話題になるから
場が持つんだ
別れ際
俺は出来るだけたくさん五百円玉をやる
紙幣は紙だから
もしか焼けたり濡れたりして残らないと困るから
どれだけお金を積んでも悲しみや苦しみをやわらげる事など出来はしないのだから
まじで
自由詩
まじで
Copyright
TAT
2018-10-15 21:31:18