夜の質量
ゴデル

夜には確かに
黒い雪のような
質量がある

この部屋にも
だんだん
だんだんと
降り積もってくる

足元から
僕の座っている
ソファを
すっぽりと包み込み
上へ上へと

ただでさえ
ぼんやりとした
このいとなみを
もう一つ
あやふやにする

だけど
眠くないもの達は
夜ではないと
天井に向かって
手足をバタバタ

どこか
家に帰ろうとする
どこか
仕事に行こうとする

バスに乗って
自分で歩いて

暗いことも
静かなことも
世界から
必要とされていないことも
無かったことにして

挙げる
奇声を挙げる

We are!

眠たい僕は
うっとりと
仕事を投げて
後は野となれ
頭の先まで
痺れていたい

のに

邪魔をするものに
悪態をつく

黙れ
黙れ
眠れ
死ね
狂人

We are!

眠たいものと
眠くないものが
手をつないで往くのは
トイレではない

地獄だ


自由詩 夜の質量 Copyright ゴデル 2018-10-15 18:38:39
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