水遊び
1486 106

雨上がりの街を歩いた
露出の多い服が肌寒く
季節の変わり目に吹く風が
取り残された私の体温を奪う

抱きしめられた温もりも
シャワーの後の優しい時間も
たった一言で嘘に変わっていく
ふやけてしまったアルバムの写真

捨てられないまま次ばかり探して
空っぽの心を埋められないまま

悲しい恋がしたいわけじゃない
思い出に浸りたいわけでもない
この人こそはと思えるような
たった一人を見つけたいだけ

枯れ果てたと思っていた
涙が頬を伝わり落ちていく
簡単に人を信じてしまうのは
悪い癖だと分かってはいるけど

同じような人を好きになって
同じような終わりを向かえる
終わりを迎える直前の空気が
いつからか分かるようになった

勝手に好きになって勝手に傷付いて
最初から最後まで一人ぼっちだ

悲しい恋がしたいわけじゃない
思い出に浸りたいわけでもない
この人こそはと思えるような
たった一人を見つけたいだけ

簡単に人を裏切れるような
本当の愛を知らない人を
嫌いになれる方法を教えて
簡単に溺れてしまうような
本当の愛を知らない自分を
嫌いになれる方法を教えて

悲しい恋がしたいわけじゃない
思い出に浸りたいわけでもない
この人こそはと思えるような
たった一人を見つけたいだけ

引き止めないし縋ったりもしない
だけど諦められるほど器用でもない
いつの日か涙が枯れ果てるまで
たった一人を探していくだけ


自由詩 水遊び Copyright 1486 106 2018-10-14 23:54:49
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