空蒼く
こたきひろし

女の人の産道を通り抜けて
その人の股間からこぼれて落ちた
日の記憶は何もない

それ以前の自分が宇宙の何処かで
何をどうしていたかなんて
解る筈がない

産声をあげたとき
自分を取り上げて臍の緒を切り身に付いた羊水を
湯水で洗ってくれた人の生存を確かめた事もなかった

ヒトの生殖も命から命へと繋がれていく事に何ら変わらない
と言う事実
女が産む為には男の種子が必要不可欠

だか
その廻り合いが如何にして選ばれるかを
何者も知らない
その不可思議

男女の間に沸き上がるエネルギー
愛情
逆さにすれば情愛
激しく絡み合う体
摩擦
オーガズム

空蒼くすみきった朝に
炊きたてのご飯に卵を落とす様を連想する
私は
いったい何者か


自由詩 空蒼く Copyright こたきひろし 2018-10-14 06:42:32
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