実験
立見春香


万が一、
この貴方への想いが熱をうしない
わたしの心が疲れ果ててしまい
手をつなぐ掌さえ、
気色悪いからと、
イヤになってしまっても
それでも貴方からは、

貴方はわたしを
けっして嫌ったりしないでね?

わたしが貴方に好きになってもらえなくて
どれほどの日々、悩みを消し去ってきたか、
に、くらべれば、
貴方はあと少しでも、わたしを想っていてね

想っていてもらえる、
権利がわたしには、あるはずだ

万が一、
世界が今日滅ぶとしたら
その、冷たい横顔を引っぱたくから、
貴方はなにも悩まずにわたしに謝ってね?

なにも悪いところがないと思っていても
わたしが申告している傷の深さを信じ、
必ず貴方のほうからわたしに謝ってね

これは、
ほんの小さな実験、
いずれ、
わたしが貴方を嫌ったりできるようになれ、
と、
いずれ、
触りたくない気持ち悪いヤツと思えるようになれ、
と、
そうすれば安心して
ふたりはフィフティーフィフティーになれる
そう思うから

万が一、
でも、嫌えなかったらどうしよう、
という恐怖を圧し殺し、
貴方に、わたしを好きにさせることに
ありとあらゆる手練手管を使用する

それだけは、宣言しておく、
危険な恋にも、
卑怯な恋にも、
清純の恋にも、

誘うと思う





自由詩 実験 Copyright 立見春香 2018-10-07 07:18:42
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