地上八階における試行錯誤

夜明け前の白い空はどこまでも遠く
頬撫ぜる風はひやりと澄んで
そっと開けた窓の縁
手をかけ
足をかけ
踏み越えた

見上げる影へ風を割り
着いた痛みと衝撃と
薄れる意識に思うのは

もう一度
 ああ、こうじゃないんだ
もう一度
 瞼は重いが
もう一度
 暗闇にとけながら考える
もう一度
 やはり最初が肝心だ
もう一度
 始めっから
もう一度
 何度だって
  もう一度

夜明け前の白い空はどこまでも遠く
頬撫ぜる風はひやりと澄んで
そっと開けた窓の縁
手をかけ
足をかけ
踏み切った


自由詩 地上八階における試行錯誤 Copyright  2018-10-05 22:24:05縦
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