天使の日
秋葉竹

(10(テン)月4(シ)日は、てんしの日だって?ふーん)


天使の日


闇の清廉さを
剥がされつつある
このゴミだめの街に
夜明け前
タワーマンションに灯る明かりへ
標識はないが一方通行の視線が
最上階へと突き刺さる

美しい天使のような女(ひと)が
恐怖に震えながら外界を見下ろしていたのだろうか

俺には何も見つからないよ


暮らしの中にあるくだらない事実が
すり切れたリフレインになるまで
生きてみたつもりだったが
なにひとつ見つけられないのさ
真実にどうすればたどり着けるのだろう


あゝ、天使が死んだという噂だった
本当は知らない
真実なんて、
誰にもわからないことなのかもしれない

ありがとう
夢みなくていい力を与えてくれ

早朝から、
今日は天使の日だと聞かされ
いつも歩くこの街、摩天楼の海は、
違った色に染まった気がした

夜が明ければ素顔をみせる
ドブ川の臭いの消えない
このクソッタレなガラクタの街に
そびえ立つタワーマンション最上階から
悲しみの天使の視線が
標識はないが一方通行の視線が
見あげる俺の顔へと突き刺さる

夢をみた、白い朝だった

天使の微笑みをみることは
きっと、2度と、ないだろう



自由詩 天使の日 Copyright 秋葉竹 2018-10-04 07:24:52
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