ミナト 螢

君は視力が悪かったとしても
人よりたくさんの星を見て来た

ショルダーバッグの
マタニティマークが目に映るから
席を譲ったりできるのだろう

優しさは心に余裕がないと
分けられずに千切りを刻んで
指を切ってしまうだけの傷跡

頼りないジェラシーにもたれたまま
夜が明るいのは都会ばかりで

点在する星のルートを辿るけど
星座になるには数が足りずに
君の知っている眩しい光で
埋める空は満天に近くなる

トレンチコートの紐を垂らして
邪魔だと思われるその前に
踏み込めなかった
僕の臆病さでも

暗い星ひとつ誰かのために
輝かせてみたい


自由詩Copyright ミナト 螢 2018-09-28 10:33:15
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