折り祈り、ときはいちじく
竜門勇気
羽が飛び降りる
苦しいことばかりだね
辛いことばかりだね
僕が祈ると君は笑う
手を組むたびに
髪の毛を掴まれて
床に投げつけられる
なんでこんな目に?
見上げると笑顔が眩しい
神様は髪の毛を一束
掴んで真顔になる
黙りながら笑って
指先を震わせる
泣いているのかもしれない
ポケットに
極限まで折り畳まれた
堅い誓約書
愛してる。あの羽がここに風に舞って来るまで
その間だけ僕の目を見つめてくれ。
そしたら僕は君の僕になる。命だっていらないし
それ以外の何もいらない。
-日付
時は終わった
熟れて裂けるように
瞬きするたびに
君は消えていく
そのたびに僕の中に入り込んでくる
時は終わった
叫び声すらいらない
僕は君の僕になりたかった
酔っ払って目が覚める
ひりつく
ガードレールの白い傷
ドブ水をぶちまけたような匂いのする
自分の吐瀉物
酔っ払わないと目が覚めない
時は終わった
ポケットの中の祈りも
もう、ヘドに濡れてきっと誰に渡しても
読むことも
いや、受け取ってもらうことも当然
できないだろう
あのひどく固く折りたたんだ祈りはもう、
自由詩
折り祈り、ときはいちじく
Copyright
竜門勇気
2018-09-28 00:13:01