大掃除の詩
ミナト 螢
開かなくなった引き出しの数だけ
未来が閉ざされるような恐怖を
抱えたままの冬の陽だまりで
溶かしてしまおう逆立てた髪を
言いたいことがひとつずつ消えても
私はただの人に戻りたくはない
掃除機をかけて誰かの心を吸い込んで
自分のものにするから空っぽなんだ
食べ終えたクッキーの箱みたいに
美しければ使い道はある
送られてくるダイレクトメールを
送り返すためのタイムマシンに乗って
遡る時代、能力が落ちる前
私の消費期限を伸ばせると
短い光の過去が呼んでいる
自由詩
大掃除の詩
Copyright
ミナト 螢
2018-09-27 10:02:57