六番目の猫
Lucy

その人は
一生の間に六匹の猫に出会うのだという
わたしが知っているのは
九回生まれ変わるという言い伝え

あなたに会いたくて
も一度生まれてきたんだろうか?

昔死んだしろちゃんに
橋の上で再開した
でも猫は同じ模様で生まれ変わるとは限らない
そっくりだったその猫も
他人の空似でしかないかもしれない

猫は服を着替え
また生まれるというのだから
記憶も
服と一緒に着替えてしまうのだろうか

私はかすかにおぼえている
大好きだった人との別れが
辛かったので
死んでも忘れたくなかったんだと思う
倉庫の上の
夕焼けでもない日暮れの曇り空だとか
赤い信号の光なんかが
哀しくて
きっと異国だったに違いないその色の空と街並みを
思い出そうとする時がある
意識の底にわざと置かれた記憶の欠片
たぶん私が猫だった時の


自由詩 六番目の猫 Copyright Lucy 2018-09-27 00:12:22縦
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