優しい疾走
秋葉竹


優しさの、
止まらない疾走に
目が回る

こころの上で掬い取られた
優しさはまるで
枯れ果てて茶色の種をバラまくまえの
向日葵の花びらを枯らした姿で
花としては終わり果てている

止まらない疾走は
夏の罪を閉じたのか

今は私は泣きそうな顔をして
その終わり果てた優しさを
なんとか元に戻そうと
こころを殺そうとしている

死を宣告された向日葵の花を
悼むこともなく
癒すこともなく
遮二無二泥の舟に乗って進みながらも
沈んでいく運命の残酷さを知ることになる

夜は、カーテンをめくるより静かに
忍びより、

あの鳥の羽ばたきがあたたかい風になって
こころの闇をふるわせていった
あの光景をまぶたの裏に映し出すと

夜は、暗いこころの上を吹きすぎながら
更けていく

どこでも優しい人たちは傷つけられ
いくらそのやるせない事実を認めてあげたとしても
どこにも傷つけられた優しい人たちを救える
あたたかい風なんて
あの世界に吹かないことを
知ることになる







自由詩 優しい疾走 Copyright 秋葉竹 2018-09-23 15:15:06
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