月よ
立見春香


月にむかって
すこしだけ、声をかけている

さっきまでいっしょだった彼のこと
すこしだけ、尋ねてみてもいい?
いまの彼って、どんな顔してる?

私みたいな幸せを
噛みしめた顔しているのかな?

観た映画の話より
私のよこがお思い出して
微笑ってくれているのかな?

かがやいていたスクリーンの
美しい女優さんより
愛おしいと思ってくれているのかな?

夜道が暗いので
家まで送り届けるべきだったと
心配してくれているのかな?

それとも私が彼を想うみたいに
いま私が
どうしているのだろう、
なにを考えているのだろう、
という想像をしてくれているのかな?

それとも、私みたいに、

私みたいな寂しさで
胸を濡らしているのかな?
まだ、逢いたくて
また、逢いたくて

星のまたたく空を見上げる

ゼネブと
アルタイルと、
ベガを探してみる

大三角形は、みつからず
ロウソクの灯りにもにた月が
ゆうたりと、ゆうたりと、
たゆたっている

すこしゆれている月光のもと
リズムをとってあるく私を
みていてくれているのかな?

どうですか?

すこしだけ、声に出して
月に尋ねてみる

私たちの行く道は、大丈夫かな?

月よ、
あなたは、いつまで綺麗でいるのかな?


自由詩 月よ Copyright 立見春香 2018-09-23 08:10:10
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