退職の日に / 旅立ちの日に(最終版再投稿済)
beebee

先月末に、大学を卒業してから勤務してきた会社を退職しました。最後はグループ会社の経理をしていたのですが、丁度グループ子会社の再編が始まりバタバタしました。やっと落ち着いたところで退職できました。
持病の緑内障が進んで来て、視野に少し斜がかかるようになって、数字がぱっと見で認識できなくなって来たので、そろそろ迷惑をかけない内に辞めようと思っていました。
退職の日、少し勤務時間を余して早く、挨拶をして退社しました。
いつもお喋りな自分を囲んで、職場の仲間達が名残を惜しんでくれる中で、次の詩を朗読して最後の挨拶に代えました。


一つ忘れることは / 新生する自我


一つ忘れることは
一つ自由になることかも知れない
我々は過去に囚われ
過去に生きているように思うが
想いは日々新しい記憶に塗り替えられていく


毎日新しい事を覚える一方で
色々なことを忘れていく
苦しいこと楽しいことを忘れていく
それは自由になるということ?
それは時間を延ばしているの?
それは時間を削っているの?


記憶という画用紙には大きさがあって
書きこんでいくと終わりがくる
書き込み続けると上から消されていく
はみ出していく記憶達
消えて行く記憶達
行が終わった記憶は一瞬光をまとい
そのまま消えていく


僕たちは不思議絵の階段のように
現在を登って来たのか?
それとも過去へ下っているのか?
手を伸ばして見上げると
階上から君が手を伸ばしている
一瞬届くように思えたが
お互いがいくら伸ばしても届かない


見上げるぼく(きみ)と
見下ろす君(ぼく)の
立場が入れ替わって
ぼくは無限空間に
閉じ込められたことを知るのか?


ぼくは毎日色々なことを忘れ
ぼくは毎日色々なことを知る


でもそれは質量保存の法則のように
色々掛け合わされ除され
もしくは加えられ減じられ
色彩され脱色され
拡散され凝縮し
昇華され結晶し
ころんと


コロンと
転がり落ちる

光 / 闇

雫 / 自分

こんにちは
新しい自分


新生する自我とは、不断に繰り返す想い(記憶)です。
自分はこれで退職してしまいますが、
自分の思いはこの職場の中にもあって続いて行く。
皆さんの思いも巻き込んで新生して行く。

また、自分は一人になって、
新しい自分を創っても行きます。
新しい旅立ちの日に、皆さんと一緒に働けて幸せでした。


この詩は劇的に変化する曇り空を見て想うことです。
変化し続ける雲の様相は
変化し続ける自分のようでもあり
それは連続するようでもあり
まったく違うようでもあり
一万年前の雲の形が再現されているのか
千年後に繰り返す様式なのか
無限なのか有限なのか
でも本質に変わらない規則性やルールがあるのかなどと、
想いはつかない螺旋階段なのです 。




散文(批評随筆小説等) 退職の日に / 旅立ちの日に(最終版再投稿済) Copyright beebee 2018-09-22 14:12:06
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