時が過ぎても
文字綴り屋 ひじり

あんなに輝いてたあなたの笑顔が

徐々にぼやけていく

あんなに心地よかったあなたの声が

段々小さくなる

あんなに締め付けられたあなたの言葉が

遠ざかっていく


それはまるで罰みたいだ

罪悪感と自己嫌悪で

私は目をつぶり

耳を塞ぎ

心を閉じる


真っ暗な無音の静寂は

恐くて寒かった

ただ自分の胸の鼓動と

体中を駆け巡る血流のうめきだけが

私の体が生きていることを思い出させる


時間の感覚もなくなった頃

もう目を開けても

何も心には映らないだろうと思った

もう耳から両手を離しても

何も心に届かないだろうと思った

もう何をしても

どんな気持ちもわいてこないだろうと思った


でも目を見開き

耳を澄ますと

あなたの存在を感じた

懐かしく温かいあなたを


少しずつ忘れていくこと

記憶が曖昧になっていくこと

自分に都合の良いことしか

思い出せなくなったとしても

それでも

あなたの存在は消えない

おぼろげな記憶になったとしても

あなたの存在は消えない

私の中で確かに存在している


自由詩 時が過ぎても Copyright 文字綴り屋 ひじり 2018-09-21 19:56:14
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