夏の改葬
青の群れ

適当に引っ張り出したTシャツから
今は使っていない柔軟剤の匂いがする

どうせ乾いていく通り雨の先

住宅街の暗闇でこっそりと線香花火に火をつけて
笑い合っているうちにぽとりと落ちた
光の粒
がじゅう、と音を立てて

海辺の街はたった1時間くらいの距離だった
コンビニで買った缶のお酒を飲んだこと
お揃いの安い指輪が同じ位置に日焼けを作って

赤く焼けた鼻がヒリヒリと傷んだこと



燃え尽きそうな日常は愛おしい
湿度と汗で張り付いたTシャツを
ハイアールの洗濯機に放り込んで
ボタン一つ、思い出を一つ、消去する

消しそびれた海の砂が


サンダルからこぼれおちたときに

また回想する、あの日々のこと

今日も暑いね
エアコンの効いた部屋の中で迎える休日
サラサラのシーツで眠ろう

素麺茹でて終わりにしよう










冬の裁縫
https://po-m.com/forum/showdoc.php?did=333930


自由詩 夏の改葬 Copyright 青の群れ 2018-08-28 11:07:35
notebook Home 戻る  過去 未来