童話じゃなくて
こたきひろし

今度から天使を数える時は一人二人三人じゃなくて
一羽二羽三羽と呼ぶことにする
私は不感症でも不眠症ではないとおもうけど
夜は
寝つきの悪い女だったんだ
だから
ずっと羊を数えてきたけれど
その内に羊は数え飽きてしまった
それで羊の代わりに
天使を数える事にしたわけ

それは男と別れて気持ちが落ち込んでいた日の
夜だった
と思う
はっきりと覚えてはいないんだけれど

始めの内は天使を人に見立てて数えてきたけれど
その内に違和感を感じ始めてしまったの
天使には背中に左右二枚の羽が生えているんだから
鳥じゃないかって
鳥だよねって

男と別れたけど
その関係はお互い無いものを欲しがってただけだから
時間と一緒に魔法はとけてしまっただけなの
そしたらぜんぶ無意味に思えてしまったの

それでも関係を解消するとなるとへこんだわ
泪流したもの
女だからね

眠れない理由は自分でも解らないのね
目を瞑って一刻も早く眠ろうとするんだけど
案外それがいけないのかな
眠れなくなるの
だから天使に空から降りて来てもらい
電線に止まって貰うの
それから数え出したわ

天使が一羽
天使が二羽
天使が三羽
って

その日の夜から


自由詩 童話じゃなくて Copyright こたきひろし 2018-08-27 21:45:58
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