晩夏にて
asagohan

戻ってきて晩夏
アスファルトの上を蟷螂が逃げていく
コウロギたちが目をさまし
囁きの波に揺られる、、、
まんまるお月
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青い空の下を
クリスタルカイザーのウォラ
舌でころころころがして
下を向いたら
でっぷりとした青虫が葉の上で
寝そべってた。瞬間に。
蒸した身体の中を
スッと通り抜ける
水。
夏。

一つの時代の最後。
まあ、時代は言い過ぎか
...じゃあ年号か?
年号が変わるだけなのに
さみしいのは私だけ?
…なぜなんだろうな
愛着があり過ぎる。

実家を建て替えるんだと
いろいろ片づけた先に。
古箪笥の古い古いアルバムから
明治時代の先祖の写真。
きっと死んだ祖父が貼ったんだろう。

通過した時代を思い出してと
先祖が言っているようで。

私達はここにいたんだよと
言っているようで。

私は秋虫のように囁くのでした
忘れないよと。


自由詩 晩夏にて Copyright asagohan 2018-08-27 00:08:11
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