一休さんの屏風の虎
TAT

風の音や雨の匂い
ゴロゴロと空が
気分を害した化け猫のように啼いて
異様に生ぬるい温かい空気がシャツのひじを舐める
やばい来るぞ来るぞと雨を怖れて
そら見ろ一気に来たぞ来たぞと
逃げ場も無いどしゃ降りの雨にやられて
開き直って笑っている
そんな人間でいたい
自由自在に出せる屋根や車や
そういった小賢しい逃げ道は持たずに
ただ来ちゃった時は濡れるしかない
そんな一個の人間で一生ありたいと祈っている
神様に値札を付けられても
恋人を病で亡くしても
眉間よりは口元の皺の方が深い死に顔でラスト死にたい
泥にまみれた水たまりにリーバイスの腰を下ろし
おじいちゃん電子マネーのホログラムカードが使えなくなっちゃうよとか言われながら
いいからいいから任せとけ
俺はなんせあの青い地球産まれなんだぞバカ野郎と吠えながら
しかも任せてもらえない
そんな余生を送りたい

夜の空に花火を見上げる時
なるほど理科で習ったように
最初に来るのは光だ
そしてその後
音が追いかけてくる
光速と
音速と
それは分かるが


でもそれで全部じゃないだろう
玉屋鍵屋で以上やないやろ






余韻みたいな
想いみたいな





字にすらならねぇバケモンじみた何かを



一休さんの屏風の虎みてぇに捕まえたくて




君も詩を書いてるんだろう?と




知らないおじさんに急に話しかけられて焦った系の話的な話

























































































































自由詩 一休さんの屏風の虎 Copyright TAT 2018-08-26 21:00:17
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