背後霊が水を汲みに行く/即興ゴルコンダ(仮)投稿
こうだたけみ

「ゆきふってる!」
子供の声がして顔を上げた。
降ってるわけがないね、まだ夏の終わり。それでも、ずっとスマホの画面に目を落としてたことに気づけたから、ときどきは顔を上げます電車はいつだって曇天きり裂く上と下へ。

丼からズルズルと吸い上げては口へ押し込む麺と、ストローの先からスルスルと上がってくるアイスカフェラテ。たどり着く場所は誰だって同じ。けどその温度差に、やられてるね。

サトー君の歌う声がした「ああやられそうだよもう溶けそうだよ」ってすばらしくNICE CHOICEな瞬間を、捧げたい人がいたりいなかったりするから花は買ったら誰かに手向けて。

カラカラだからだ。いまに一雨来るのを待てなくて、背後霊が水を汲みに行くって立ち上がるよ足つかないくせにね。溺れる。溺れられる? 息つく暇もないくらいに。腕だけでかいて空。私なら空腹。


自由詩 背後霊が水を汲みに行く/即興ゴルコンダ(仮)投稿 Copyright こうだたけみ 2018-08-20 21:48:54
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